NHK連続テレビ小説『虎に翼』の劇中歌「You are so amazing」が、視聴者の間で大きな話題を呼んでいます。この曲は、劇伴音楽を担当する森優太が作詞・作曲を手がけ、スコットランドを代表するバンド「ベル・アンド・セバスチャン」(通称:ベルセバ)のボーカリスト、スチュアート・マードックが歌唱を担当しました。
この意外な組み合わせは、多くの音楽ファンや朝ドラファンを驚かせ、SNS上でも大きな反響を呼びました。特に、第40話(2024年5月24日放送)で優三が出征するシーンや、第44話(2024年5月30日放送)での寅子の回想シーンで印象的に使用され、視聴者の心に深く刻まれています。
森優太は、「You are so amazing」を作曲する際、「全ての女性と、生きづらさを抱えている人たちに送る曲」を目指したそうです。そして、「世界で一番歌ってほしい人は誰だろう」と考えた時に浮かんだのが、スチュアート・マードックだったとのこと。
森は、ベル・アンド・セバスチャンを「優しくポジティブな音楽を世界に発信し続けている、宝物のようなバンド」と評しており、マードックの声でドラマを見守る目線を音にできたらと考えたそうです。
当初は夢物語だと思っていた森でしたが、曲とメッセージを送ったところ、マードックから「楽譜を送ってくれないか?」という返信があり、リモートレコーディングが実現しました。
「You are so amazing」は、優しく温かい歌声が特徴的な楽曲です。時代背景とはやや異なる英語の歌詞ですが、ドラマの情景にぴったりとマッチしています。
曲の歌詞や旋律は、優三が別れの辛さをこらえて寅子を励まし、勇気づける優しさに溢れたシーンを見事に表現しています。マードックの独特の声質が、ドラマの情感をより深く伝える役割を果たしています。
この曲は、6月5日発売の『オリジナル・サウンドトラックVol.1』に収録されており、5月25日より先行配信も開始されました。
「You are so amazing」の使用は、多くの視聴者から好評を博しています。特に、音楽ファンの間では「まさか朝ドラにベルセバが降臨するとは」という驚きの声が多く上がりました。
SNS上では「ベルセバ」というワードが多数投稿され、ドラマファンと音楽ファンの両方から注目を集めました。多くの視聴者が、この曲によって物語の感動がより深まったと感じているようです。
また、この楽曲の起用は、日本の朝ドラと海外のインディーロックバンドという異色のコラボレーションとして、メディアでも取り上げられました。
この反響を受けて、スチュアート・マードックは日本のファンに向けて動画コメントを寄せています。その中で彼は、「『虎に翼』の劇中歌、"You are so amazing"を歌えたことがいかに素晴らしかったか、ただそれを伝えたかった」と語っています。
さらに、「ベル・アンド・セバスチャンの核でもある、女性の解放をテーマにした作品に関わることができて嬉しく思います」とコメントし、この楽曲と『虎に翼』のテーマとの親和性についても触れています。
また、ベル・アンド・セバスチャンは2024年の『SUMMER SONIC』への出演が決定しており、マードックは「夏に日本に行きます。そこでこの曲を歌えたらいいな」と期待を寄せています。
『虎に翼』における「You are so amazing」の起用は、朝ドラの音楽演出に新たな可能性を示しました。従来の日本の楽曲や歌手にこだわらず、海外のアーティストを起用することで、より幅広い表現が可能になることを証明したと言えるでしょう。
この試みは、朝ドラの音楽演出に新しい風を吹き込み、今後の作品にも影響を与える可能性があります。また、日本のドラマと海外音楽のコラボレーションという新しい形態が、国際的な注目を集める可能性も秘めています。
さらに、この楽曲の起用は、『虎に翼』の物語テーマである「女性の解放」と、ベル・アンド・セバスチャンの音楽性が持つメッセージ性が見事にマッチした例としても注目されています。これは、音楽が単なる背景としてではなく、物語の本質を深める重要な要素として機能することを示しています。
以下のリンクでは、スチュアート・マードックのインタビュー動画を見ることができます。彼の『虎に翼』への思いや、日本のファンへのメッセージを直接聞くことができます。
このように、『虎に翼』におけるベル・アンド・セバスチャンの楽曲起用は、単なる話題作りを超えて、ドラマ制作における音楽の役割や、国際的なコラボレーションの可能性を示す重要な事例となりました。今後も、このような革新的な試みが日本のドラマ制作に新たな可能性をもたらすことが期待されています。