朝ドラ「虎に翼」の主人公・猪爪寅子の言動に違和感を覚える視聴者が増えています。特に物語が進むにつれて、寅子の性格が強情で理屈っぽく、時に無神経でKYな面が目立つようになってきたことが指摘されています。
例えば、同性愛をカミングアウトした友人の前で、結婚のメリットを感じないと発言するシーンがありました。これに対し、結婚したくてもできない人たちの気持ちを考えていないという批判の声が上がりました。
また、夫婦同姓に関して「はて?」と疑問を呈するシーンでも、既に一度結婚して苗字が変わっている設定であるにもかかわらず、なぜ今さらそんな疑問を持つのかと視聴者を困惑させました。
「虎に翼」では、フェミニズムや女性の権利に関するテーマが頻繁に取り上げられています。しかし、その描写方法に対して「押し付けがましい」「バランスを欠いている」という批判の声が上がっています。
特に、更年期障害や認知症といった問題を女性のみにフォーカスしている点が指摘されています。これらの問題は男性にも関係するにもかかわらず、女性の問題としてのみ描かれているという不満の声があります。
また、オープニング映像に女性しか登場しないことへの違和感を指摘する声もあります。男女平等を訴えるドラマであるにもかかわらず、男性の存在感が薄いという批判です。
「虎に翼」には、現代の社会問題や政治的なテーマが多く盛り込まれています。しかし、これらのメッセージ性の強さに対して「ドラマとしての面白さが損なわれている」という意見も少なくありません。
例えば、LGBTQの問題を扱うシーンでは、唐突に登場人物がカミングアウトし、周囲がすぐに受け入れるという展開に違和感を覚える視聴者もいました。現実社会の複雑さを十分に描ききれていないという指摘です。
北村晴男弁護士は自身のXアカウントで、「最近は政治色が強過ぎて気持ち悪い」とコメントし、話題を呼びました。
「虎に翼」の物語展開にも不自然さを感じる視聴者が増えています。特に、主人公・寅子の感情の変化や行動の理由付けが唐突で理解しづらいという声が目立ちます。
例えば、第69話で寅子が突如として怒りを爆発させるシーンがありました。これに対し、多くの視聴者が「なぜそこまで怒るのか理解できない」と困惑しました。それまでの描写では、そこまでの怒りの伏線が十分に描かれていなかったためです。
また、20年以上も秘密にしていた重要な事実が突然明かされるなど、ストーリーの展開に無理があるという指摘もあります。
「虎に翼」への不快感の背景には、現代社会におけるジェンダー問題への認識の変化があると考えられます。かつては「女性の社会進出」というテーマ自体が斬新でしたが、現在ではより複雑な問題として捉えられています。
例えば、単に「女性が活躍する」というだけでなく、その過程での困難や、男性を含めた社会全体の変化が求められています。しかし、「虎に翼」ではこうした複雑な現実が十分に描ききれていないという批判があります。
また、インターネットの普及により、視聴者が多様な意見に触れる機会が増えたことも、ドラマへの批判的な見方を強めている要因の一つと考えられます。
以上のように、「虎に翼」への不快感は単なるドラマの出来不出来だけでなく、現代社会の複雑な問題を反映していると言えるでしょう。しかし、朝ドラという形式の中で、こうした問題をどこまで深く描くことができるのか、という課題も浮き彫りになっています。