虎に翼の多岐川のモデルは宇田川潤四郎

朝ドラ「虎に翼」の多岐川幸四郎のモデルとされる宇田川潤四郎。「家庭裁判所の父」と呼ばれた彼の半生と功績を紹介します。滝行や冷水浴、スルメ焼きなど個性的な行動の真相とは?

虎に翼多岐川モデル宇田川潤四郎

宇田川潤四郎の生涯と功績
👨‍⚖️
「家庭裁判所の父」

家庭裁判所の創設に尽力し、戦後の日本の司法制度に大きな影響を与えた

🏛️
最高裁判所家庭局長

家庭裁判所の設立や子どもたちの支援、女性の地位向上に全力を注いだ

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個性的な習慣

滝行や冷水浴を実践し、独自の方法で心身を鍛錬した

虎に翼の多岐川幸四郎と宇田川潤四郎の共通点

NHK連続テレビ小説「虎に翼」に登場する多岐川幸四郎(滝藤賢一)のモデルとされる宇田川潤四郎には、ドラマの登場人物と共通する興味深い特徴があります。

  1. リーダーシップ:両者ともに優れたリーダーシップを発揮し、周囲から信頼されていました。
  2. バイタリティ:エネルギッシュな性格で、困難な課題に果敢に取り組む姿勢が共通しています。
  3. 人望:朗らかな性格で人々から好かれる人柄だったとされています。
  4. 独特の習慣:滝行や冷水浴など、独自の方法で心身を鍛える習慣がありました。

 

宇田川潤四郎は、実際に昭和17年(1942)頃から毎朝冷水をかぶる「禊行」を実践していたことが知られています。これは、ドラマの多岐川が滝行や冷水浴を行う場面のモデルになったと考えられます。

虎に翼多岐川モデルの宇田川潤四郎の経歴

宇田川潤四郎の経歴は、波乱に富んだものでした。

  1. 1907年(明治40年)2月11日:東京で誕生
  2. 1929年(昭和4年):早稲田大学卒業、高等文官試験司法科合格
  3. 1938年(昭和13年):満州に赴任、新京高等法院審判官などを務める
  4. 1945年(昭和20年):終戦により帰国
  5. 1946年(昭和21年):大阪地方裁判所裁判官に就任
  6. 1949年(昭和24年):最高裁判所家庭局長に就任
  7. 1970年(昭和45年):逝去

 

特筆すべきは、満州時代の経験です。中央司法職員訓練所の教官として中国人の若者たちに法律を教え、彼らと深い絆を築きました。この経験が、後の宇田川の人道的な活動の基盤になったと考えられています。

 

虎に翼多岐川モデル宇田川潤四郎の家庭裁判所への貢献

宇田川潤四郎は、「家庭裁判所の父」と呼ばれるほど、日本の家庭裁判所制度の確立に大きな貢献をしました。

  1. 調査官制度の創設:家庭裁判所に専門的な調査官を配置し、家庭問題や少年事件の解決に科学的アプローチを導入しました。
  2. 研究会の開催:法律家だけでなく、心理学者や社会学者など多様な分野の専門家を交えた研究会を開催し、家庭裁判所の機能向上に努めました。
  3. PR活動:当時まだ日本に馴染みのなかった家庭裁判所の役割や重要性を広く社会に伝える活動を積極的に行いました。
  4. 女性の地位向上:家庭内での女性の人格尊重と暴力の排除を訴え、健全な家庭の実現を目指しました。

 

宇田川は、1969年の朝日新聞のインタビューで「女性の人格は無視され、男性の暴力のもとに泣いている女性が多い」「国民のすべてが暴力支配を徹底的に排除し、『法の支配』の実現を強調することは大きな義務である」と述べており、その先見性が窺えます。

 

虎に翼多岐川モデル宇田川潤四郎の戦後復興への取り組み

戦後の混乱期、宇田川潤四郎は戦争孤児や非行少年の問題に真摯に向き合いました。

  1. BBS運動の推進:Big Brothers and Sisters Movementの略で、大学生などのボランティアが非行少年の相談相手となる活動を推進しました。
  2. 宇治少年院の設立:少年の更生施設の不足を憂い、自ら敷地を探すなど積極的に動いて宇治少年院を開設しました。
  3. 家庭裁判所の設立:1949年1月1日に東京家庭裁判所が設立され、宇田川は最高裁判所家庭局長として中心的な役割を果たしました。

 

これらの活動は、戦後の混乱期に社会の安定と再建に大きく貢献しました。宇田川の取り組みは、単なる法律の執行にとどまらず、社会福祉の視点を取り入れた先進的なものでした。

 

虎に翼多岐川モデル宇田川潤四郎の京都との縁

宇田川潤四郎は、京都とも深い縁がありました。

  1. 京都少年審判所長:戦後、京都少年審判所の所長を務めました。
  2. 宇治少年院の設立:京都府宇治市に少年院を設立し、少年の更生に尽力しました。
  3. 京都家庭裁判所所長:後に京都家庭裁判所の所長も務めています。

 

京都での活動は、宇田川の少年保護や家庭問題への取り組みの重要な一部となりました。特に宇治少年院の設立は、当時の施設不足の状況を改善する大きな一歩となりました。

 

宇田川の京都での活動は、地域に根ざした司法の実現という彼の理念を体現するものでした。地域の特性を理解し、それに合わせた司法サービスを提供することの重要性を示しています。

虎に翼多岐川モデル宇田川潤四郎の現代的意義

宇田川潤四郎が目指した家庭裁判所の役割は、現代においても変わらぬ重要性を持っています。

  1. 高齢化社会への対応:成年後見事件の増加に伴い、家庭裁判所の役割がますます重要になっています。
  2. 共同親権制度への対応:2024年5月の民法改正で成立した共同親権に関する紛争の増加が見込まれています。
  3. 人員体制の課題:家庭裁判所の業務量が増加する一方で、人員体制が追いついていないという課題があります。

 

宇田川が築いた家庭裁判所の理念を現代に活かすためには、時代の変化に応じた体制の整備が必要です。特に、裁判官・調査官・書記官などの人員増強や、新しい社会問題に対応できる専門性の向上が求められています。

 

 

宇田川潤四郎の遺志を継ぎ、現代の家庭裁判所がより効果的に機能するためには、社会全体で家庭裁判所の重要性を認識し、その充実を求めていく必要があります。「虎に翼」のドラマを通じて、多くの人々が家庭裁判所の歴史と現状に関心を持つきっかけになることが期待されます。