名古屋市市政資料館は、大正11年(1922年)から昭和54年(1979年)まで、実際に名古屋高等裁判所・地方裁判所として使用されていた建物です。この歴史的建造物が、NHK連続テレビ小説「虎に翼」のロケ地として選ばれたのは、その重厚な雰囲気と時代を感じさせる建築様式が、ドラマの世界観にぴったりだったからでしょう。
市政資料館の外観は、赤レンガ造りの壁面と白い石造りの装飾が特徴的で、明治後期から大正期にかけての西洋建築の影響を強く受けています。内部には、大階段や吹き抜け、バルコニーなど、当時の裁判所の威厳を感じさせる要素が随所に残されています。
ドラマでは、この建物が「東京地方裁判所」として登場しますが、実際には名古屋の建物であることが、地元の方々やファンの間で話題となりました。
市政資料館の魅力は、その建築美だけではありません。現在は一般公開されており、様々な展示や企画が行われています。
これらの場所は、通常のツアーでも見学することができ、建築ファンや歴史好きの方々に人気です。
また、「虎に翼」の放送をきっかけに、主人公のモデルとなった三淵嘉子さんに関する企画展も開催されました。三淵さんの判事任命に関する公文書や、名古屋地裁時代に作成した判決文なども展示され、法曹界における女性の先駆者としての足跡を辿ることができます。
「虎に翼」の放送以降、市政資料館への来館者数は大幅に増加しています。2024年度の来館者数は、前年度の同時期と比べて2.4倍にも上ったそうです。
ロケ地巡りの際には、以下のポイントに注目してみてはいかがでしょうか:
また、市政資料館だけでなく、ドラマの他のロケ地も巡ってみるのも面白いでしょう。例えば、名古屋市役所や鶴舞公園なども「虎に翼」の撮影に使用されています。
「虎に翼」の撮影では、市政資料館の特徴を活かしたシーンが多く撮影されました。例えば、主人公の猪爪寅子が初めて裁判を傍聴するシーンでは、実際に使われていた法廷の雰囲気をそのまま再現しています。
撮影中は、建物の保護に細心の注意が払われたそうです。重要文化財である建物を傷つけないよう、照明や機材の設置には特別な配慮がなされました。
また、エキストラとして参加した地元の方々からは、「実際の裁判所で撮影することで、より臨場感のある演技ができた」という声も聞かれました。
市政資料館を含む名古屋のロケ地は、単にドラマの舞台というだけでなく、名古屋の歴史を物語る重要な場所でもあります。
昭和初期、名古屋は「百万都市」として急速に発展していました。市政資料館が裁判所として機能していた時代、名古屋駅の移転や中村遊廓の開設など、街の様相が大きく変化していった時期でもあります。
これらの歴史的背景を知ることで、ドラマの世界観をより深く理解することができるでしょう。例えば、名古屋駅の変遷を追うツアーに参加したり、当時の街並みを再現した展示を見学したりするのも、「虎に翼」の世界をより立体的に感じる良い機会となるはずです。
以下のリンクでは、昭和初期の名古屋の様子をより詳しく知ることができます:
「虎に翼」のロケ地巡りは、単にドラマの舞台を訪れるだけでなく、名古屋の歴史や文化、そして法曹界における女性の活躍の歴史を学ぶ貴重な機会となります。市政資料館を中心に、ドラマの世界観と実際の歴史が交差する場所を巡ることで、より深い感動と学びを得ることができるでしょう。