NHKの連続テレビ小説「虎に翼」の主人公、猪爪寅子のモデルとなった三淵嘉子は、明治大学の卒業生です。三淵嘉子は1914年に生まれ、1932年に明治大学専門部女子部法科に入学しました。その後、法学部に編入し、1938年に日本初の女性弁護士となりました。
明治大学は、1929年に専門部女子部法科(3年制)を設置し、女性に法律を学ぶ機会を提供しました。これは、1933年の弁護士法改正を見越した先進的な取り組みでした。当時、女性が弁護士になれる道を開いていたのは、実質的に明治大学だけだったのです。
ドラマ「虎に翼」では、明治大学は「明律大学」という名称で登場します。キャンパスのシーンでは、象徴的なドームを持つ校舎が印象的に描かれています。しかし、実際の撮影では、つくばみらい市にあるNHKの施設「ワープステーション江戸」のセットが使用され、ドームの部分はCGで追加されているそうです。
ドラマ内では、主人公の寅子が男子学生と共に学ぶ様子や、法廷での活躍が描かれています。これらのシーンは、当時の明治大学での女子学生の様子を想像させるものとなっています。
1930年代、日本社会は男女の差別が色濃く残る時代でした。そんな中、明治大学が女性に法律を学ぶ機会を提供したことは、非常に先進的な取り組みだったと言えます。
当時の明治大学学長、横田秀雄は開校式で「男尊女卑の旧習を打破し、女子の人格を尊重し、法律上、社会上の地位を改善し向上させる」と目的を掲げました。この理念が、三淵嘉子をはじめとする女性法曹の誕生につながったのです。
ドラマ「虎に翼」では、明治大学周辺の風景も重要な舞台となっています。特に、以下の場所が印象的です:
これらの場所は、現在も残っており、ドラマの世界を追体験することができます。
明治大学の法学教育の特徴は、実践的な学びを重視していた点です。ドラマでは、主人公の寅子が法廷実習や模擬裁判に参加する様子が描かれています。これは、実際の明治大学の教育方針を反映したものと言えるでしょう。
当時の明治大学では、法律の理論だけでなく、実際の事例を用いた教育が行われていました。これにより、学生たちは卒業後すぐに実務に対応できる能力を身につけることができました。
また、女子部の学生たちは、男子学生と同じ内容の授業を受けることができました。これは、当時としては画期的なことでした。
明治大学の法学教育の特徴は、以下のようにまとめられます:
これらの特徴が、三淵嘉子をはじめとする多くの優秀な法曹を輩出することにつながったのです。
「虎に翼」が描く1930年代の明治大学の姿は、現代の大学教育にも示唆を与えています。特に以下の点が重要です:
明治大学は、これらの理念を早くから実践していました。この精神は、現在の明治大学にも受け継がれています。
例えば、明治大学は現在も法科大学院を設置し、実践的な法曹教育を行っています。また、ジェンダー平等や多様性の推進にも力を入れています。
「虎に翼」は単なる歴史ドラマではなく、現代の大学教育のあり方を考えさせる作品でもあるのです。
以上のように、「虎に翼」と明治大学の関係は、日本の法曹界における女性の地位向上の歴史を象徴するものと言えるでしょう。ドラマを通じて、明治大学の先進性と、それが現代にも続く意義を再確認することができます。
明治大学博物館では、「虎に翼」に関連した企画展も開催されています。ドラマの世界をより深く知りたい方は、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。